むかし、かみさまがいました。
かみさまは、とてもえらかったのです。
かみさまはわたしたちに、いろんなことをあたえてくれました。
わたしたちはかみさまを、そんけいしました。
かみさまはいいました。
『わたしににているものを、”かみのこ”としなさい。』
”かみのこ”は”かふぃるちゃいるど”とよばれました。
なぜなら、かみさまのなまえが、”かふぃる”だったからです。
それからここでは、ずっと、ずっと、





の子





くだらねーの。
そう思ったのは何時の日だったか。
崇め奉られ、尊敬され。
幾ら横暴を振舞おうと、それすら真に受け止める。
唯の、宗教狂い共。
唯一、相棒だけがオレを白い目で見る。
オレは人じゃない。
まして、神ですらないってのに。
では何か。
そう、オレは、人形だ。
ってことを、ほとんどの奴が知らねーでいる。
哀れなことだ。
なーんて、悲しんでもやらない。
馬鹿だ、って、思うだけ。

「カフィル。」
「何だよ。」
「少し、言い過ぎです。」
「はぁ?これくらいどーってことねーっての。」

神様の子供だぜ、オレは。

「貴方は神じゃない。」
「アイツ等はオレが神の子だって信じて疑わねーけど?」
「メアリにとっては、貴方は唯の、」

『背徳者。』

違う、なんて、言わねーけど。
オレは、それを認める。
何の否定も無しに。

「背徳の神っていねーかなー。」
「それを悪魔と呼ぶんです。」
「悪魔かー、いいねー。」

「オレ悪魔になるわ。」

「矛盾を。」
「そーかもな。」
「周りが許さないです。」
「だろーねー。」

ね、オレが悪魔になったどーするんだろ。
いきなり、オレは悪魔だ!って。
叫んで、周りに知らせて。
神様の子供じゃないぜ!って。
驚くんだろうな。
それも楽しそうだけど。

「けどきっと、神も悪魔も変わんねーだろ。」
「何故そう思うのです?」
「だってさ、神が『オレは悪魔だ!』って言ったら、神イコール悪魔なわけじゃん?」
「・・・成程、そういうことですか。」
「そーそ。」

だったら、周りもどうせ悪魔崇拝に切り替えるんだろーし。
だってオレは、金髪。
だってオレは、カフィルチャイルドとして選ばれた子。
誰も疑いようの無い、神の子。
意味が無い、面白くない。
誰か、誰かさ、

「誰かさー、オレを違ぇーって言ってくんねーかなー。」
「そしたら貴方は死罪です。」
「其れは嫌だー。」

けらりけらり。
口から漏れた嗤いは、唯、面白そうにしか歪まなくって。

「オレは生きるぜー。」
「神の子としてですか?」
「しっかたねーよなー。」

歪んだオレの口、見透かしたような相棒の瞳、それらを知覚して尚、心が求めた。

『変革を。』

神の子が求めても求めても、手に届かない。
それは何かって言われたら、やっぱ、この現状の変化、だよな。

この地域に存在する、昔からの宗教。
それに縋りつく、狂信者共は、金色の髪に焦がれて。
今も昔も、未来も、全てを維持しようとする。

神様、本当の神様だったら、変えられるんだろーね。





ずっと、きんいろのかみのこが、”かみのこ”としていきていました。
あるとき、”かふぃるちゃいるど”がいいました。
『かみさまなんざ、いねーんだよ。』
おとなたちはおどろいて、かれを、だんじょうからひきずりおとそうとしました。
『かれはにせものだ。』
くちぐちにおとなはいいます。
かれは、じぶんにそむいたおとなをすべてひきさいて、そして、

そこから、かみさまはいなくなりました。
かみさまをしんじるひとも、だれもいなくなりました。
おしまい。






「な、此れってどう思う?」
「貴方が書いたんですか。」
「そー、オレの未来?」
「何故に幼稚言葉なのです?」
「子供向けー。今からきょーいくしてやんねーとな。」
「貴方にそのような意思が有ったとは、驚きです。」

なーんちゃって。
今書いた小さなノートを空に放り投げる。





「元から、神も、神の子も、いねーっての。」





+

第一弾、カフィルとメアリーナ。
神の子、と見て、まずカフィルが浮かんだので。
ひらがなで書いたほうが、残酷に見えた気もする。
練習練習。

Thank you!